2023年03月16日

受け手は変わらなくても社会の方が変わるという話


このところ議論を呼んでいるものにLGBTがあります。
非常に政治的な文脈で語られることも多いですが、それは別の方におまかせするとして ここで語りたいのはいよいよ入れ替わり作品にも影響が及んできたという話です。

先に予防線として言っておきたいのですが実際にLGBTで悩みを抱えている方を貶める意図は一切ありません。


これまでの入れ替わり作品で描かれてきた男女のギャップの面白さ

エンタメ作品において男性と女性が入れ替わった場合、描かれる典型的なものとして女性の見た目なのに男性のような言動をしたり、また逆に男性の見た目なのに女性のような言動をする描写があります。 より具体的には女の子が一人称が「俺」だったり足を広げて座ったりすることに何も恥じらいを覚えなかったり、男の子が女言葉を使ったりナヨナヨする動き方だったりですね。

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『男子ingガール!』より

こういった描写におかしさや面白さを感じるのは男性であれば(また女性であれば)取るであろう言動が広く認識され、多くの人が自身の体験として実感出来ているからです。
ここで「普通」という言葉を使うと文句を言われそうなので敢えて「ステレオタイプ」という言葉を使いますが、この男性のステレオタイプ・女性のステレオタイプが確立されているからそこから外れてしまったことが面白いと言えるわけです。

しかし最近のLGBT機運の高まりからこのステレオタイプというものが“社会的には”見直される流れが来ています。自分の中ではあくまでそれは現実社会の問題でありフィクションとは関係ないと思ってました。またフィクションに関係があってもLGBTに敏感すぎるアメリカの話でしょ? くらいの感覚でした。しかし日本でも影響を受けた作品が誕生してきているのです。


LGBT影響を感じる作品

具体的に作品を紹介します。ついてはオチまでしっかりネタバレがありますのでそこは注意してください。

『逆のボタンはかけづらい』(著者:路田行)

あらすじ
大雑把な性格のヒロイチと仕事好きだったが今は専業主婦をしているアカリは夫婦だがお互いの考えが合わず喧嘩気味。そんな2人はある日入れ替わってしまう。するとお互い相手として過ごす生活が意外なほどに合っていることに気が付いた。そしてはそれは男とか女とか関係なくお互いにらしく生きることなのだと。翌日元に戻る2人。その後、アカリは働きに出てヒロイチは専業主夫として生きていくのだった。

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読んだ時は「男性は社会に出て働く・女性は専業主婦で家を守る」という価値観は自分にとっても古い価値観と思えましたし、掲載誌がモーニング系だっていうこともあって社会派なテーマではあるんです。わかりやすい古い価値観の「性役割」という意味でのジェンダーに抗う形。こういう話もありかなと思ったんですが既存の作品とはやはり違う感覚ありますね。

これまでの入れ替わりものであれば、「入れ替わったことで相手の立場が理解出来たので元に戻ってもパートナーの気持ちを背負って心機一転頑張ろう」みたいな展開が王道で、攻めた作品なら「入れ替わりなんて大変だと思ったけど入れ替わった状態こそが自分たちのベストみたいだ」と気付いて入れ替わりを受け入れて終わるみたいなこともあるでしょうか。


ドラマ
『神様のえこひいき』(公式サイト)

あらすじ
高校生男子の天野弥白は親友・七原ケンタのことが好きで告白したが断られ傷心の中、交通事故に遭い神社の神様のえこひいきで女の子として生まれ変わることに。実はそれは生まれ変わったわけではなく天堂神楽という女の子と入れ替わったという形だった。弥白の当初の考えとしては自分が男でありケンタと同性であることが恋愛の障害になっているから女の子になりたかったわけだが、同性だとか異性だとかいう立場は好きという気持ちに関係ないのでは?という考えに至る。紆余曲折あって元に戻った弥白は男のまま改めてケンタに告白し付き合うことになった

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原作では神楽はオリジナルな存在だったけどドラマ版では入れ替わりの形を採用してます。原作からして同性愛がそもそもの出発点としてあるわけなんですが、このテーマを真面目に掘り下げていったら男性同士の恋愛に発展するというのがこのドラマなわけです。普段からBLとかを嗜まれる方にしてみれば全然ありなんでしょうが、一応一般向けとして作られたドラマでこの展開は結構驚きではありました。

これまでも好きになった人が同じ性別であることが壁になるなら自分が異性になればいいのだ、という考えで入れ替わりを企てた作品というのはあって『菜々ちゃんは俺のもの』がそういう作品でした。考え方の基準が違うことがわかります。最初こそ「恋愛は男女でするもの」と弥白自身も考えていたけど、その基準を破壊していく作品になっていました。


『王子は姫になりたがる』(著者:柚原瑞香)

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あらすじ
高校生男子・王寺(おうじ)はかわいいものが大好き。だから同じクラスの美少女の女子・姫島がガサツで男らしい性格なのがもったいないと思っていた。いっそ姫島になりたいと思っていた矢先、2人は頭をぶつけたショックで入れ替わってしまう。入れ替わった状態の方がしっくり来てしまった2人はそのまま過ごすことに。2人ともがお互いになりたかったのは確かだが姫島の友人や周囲の人たちから「今の(入れ替わった)状態の方がいい」と言われるにつれ、今の入れ替わりを受け入れるのではなく自分のまま自分の好きなように生きることが大事なんじゃないかと気付く。そして元に戻った2人は自分の気持ちに素直に生きるようになった。

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入れ替わった方がしっくりきちゃった系の作品というのも『僕と彼女の×××』とか色々ありますが、それらはまだ作品の作り方の根底にコメディのベースがあったように思います。「女の子の方がいいって言われるけどそれは男としてのプライドがー」みたいなヤツですね。生き方の相性が入れ替わってた時の方ががいいってだけでそこに性別に関するガチの悩みまではいってなかった。

この作品だと主人公2人がそもそもトランスジェンダー気味に描かれてます。元に戻ってジェンダーに囚われずに自分らしくいこうという展開に至る作品というのはほとんどなかった。上記2つの作品は少しマイナー気味な(広く浅い層には届かない)メディアでしたが、本作は純粋な少女漫画誌で描かれたこと、つまり一般的なエンタメとして世に出されてることが結構ショックを受けましたね。


まとめ

上記3作品はここ5年以内に発表された作品になります。
入れ替わりものに関して言えば(男女の場合の)性別変更だけじゃない魅力があるのですが、こと性別変更要素に限って言えばステレオタイプから外れたことがおかしいと思われなくなっていくのではないか、という懸念があります。

例えば、洋画『ザ・スイッチ』では女子高生の主人公と殺人鬼の男性が入れ替わります。色々あって殺人鬼の男性の体のヒロインとヒロインが好きな男の子がキスをするというシーンがありますが、これまでの価値観だとギャグなんですよここ。男の子にしてみれば「外見男同士のキスなんて冗談じゃない!ましてやおっさんとなんて!」っていう。でも今のLGBT的考えだと「そこはなにもおかしくないでしょ?」ってなる。

これは持論なのですが、男性・女性のステレオタイプというのは別に「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という押し付けで出来たものとは思いません。子育てをされている方の話を聞いても子供に特に押し付けたわけでもないのに男の子は乗り物や怪獣などのおもちゃを好むし、女の子は人形などを好むことが多いとか。ステレオタイプは自然に形成されたものでその価値観に準ずることは自然なことだと思っています。(それをベースにマイノリティを否定していいって意味じゃないですよ念の為)

自分はステレオタイプ価値観のベースがあるから男女入れ替わりは面白いし興奮出来るのは間違いないんです。でも社会の方が変わりつつあって実際ステレオタイプに縛られるな!という作品が提供されつつある。自分の中の価値観は変わらないけど提供される作品の方が変わっていってる。なんとも言えないモヤモヤ感になっているという状況なのです。


posted by クロエ at 21:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月12日

アフターものの一つの到達点!『君の顔では泣けない』


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小説 『君の顔では泣けない』(著者:君嶋彼方
2021年9/24発売 [Amazon]:紙本 電書

公式のあらすじから
高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、うまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。
もう元には戻れないのだろうか。男として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきか――。迷いを抱えながら、陸は高校卒業と上京、結婚、出産と、水村まなみとして人生の転機を経験していくことになる。

入れ替わり好き的にはとても気になっていた書籍を読ませていただきました。
ストーリーはほぼあらすじ通りではありますが、以下の感想はネタバレありですので気になさる方は気をつけてください。


アフターもの

本作は多くの入れ替わり作品の中でも特に自分が「アフターもの」と呼んでいるタイプの物語になります。
ほとんどの入れ替わりを扱った作品では「入れ替わり」という状態は一時のハプニングでありそれが解消することによって物語としても解決となる構造をしています。しかし入れ替わり作品を見ていて「もしこの入れ替わりが元に戻らないまま話が進んでしまったらどうなるのだろう?」と思ったことはないでしょうか。
それが「入れ替わった状態のその後=アフター」を描いた作品ということです。

特徴としてはお互いが今までの人生を捨てて新しく別人の人生を歩まざるを得なくなってしまうこと、入れ替わった状態で過ごした時間が長くなってしまいその状態での新たな人間関係が構築されてしまっていて、もし戻れるチャンスがあったとしても今更戻りたいだろうか、といった葛藤が生まれるなどがあります。 入れ替わり作品はその非現実的で漫画的なテーマからドタバタコメディで扱われることが多いわけですが(もちろんそっちも大好きですが)アフターものはこれまでの入れ替わりものではあまり描かれない悲劇性を含む深い心情を描くことになります。

アフターものは扱った作品は本作が最初というわけではなく、個人的にオススメ出来る作品として『思春期ビターチェンジ』『君の足跡はバラ色』といった作品があります。

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どちらも非常に味わい深い作品になっていますので機会がありましたら是非。
他には短編でレア度がちょい高めですが『僕が行方不明…』『さくさく』という作品もあります。

こういった状況の中で、本作『君の顔では泣けない』はそのアフターものを徹底的に掘り下げる作品になっているのです。


リアリティ

自分は入れ替わり作品を色々読んでいると「もし現実に入れ替わりという現象が起きたら」というリアルシミュレーションを自分なりにすることがあります。そうすると自分では真面目に考えすぎてしまって物語として面白く出来ないということがありました。しかし本作ではその描き方が絶妙なんですよ。

水村まなみになってしまった坂平陸はまなみとしてうまく振る舞うことが出来なくてまなみが付き合っていた彼氏とも別れてしまうし、まなみの友達の笹垣と高見とも疎遠になってしまう。でも周りは「最近あいつなんとなく変わったな」くらいにしか思わないわけです。
別に2人ともお互いうまく演じられていたわけではないけどそこで周りも「あいつら入れ替わったのではないか?」みたいな突飛な発想にはいかない。入れ替わりがなくてもこういった人間関係の変化はあるものだし、周りもその程度の変化にしか思わない。

このリアリティの描き方は凄くしっくり来たんですよね。入れ替わりが現実に起きても案外そんなものではないか、という感覚が個人的にあるんですがそこに上手くハマった感じです。

また陸は化粧も出来るようになって女性としての着こなしも出来るようになるけど、それは心まで女性になってしまったということではない。まなみと再会すると一人称は「俺」になり本当の自分を出すことが出来る。人間としての適応力とその個人の本質とはまた別であると。ここのバランス感覚の良さは本当に素晴らしいです。


相手を思うからこそ

陸はいつか元に戻った時のためにまなみとして、一人の女性として立派に過ごそうとするんですがこれ自分はすごく好きな感情なんですよね。入れ替わりものって2人以上の人間が関わることが絶対の話であって自分一人だけどうにかする話じゃない。大変なのは自分だけじゃない、と相手を思いやろうとする。ただその優しさはこの状況においては呪いのように自分を縛っていく。
この点ではまなみの方がむしろそこをわかっていて「自分の好きなように生きていい」というのだけどそこはそう簡単に割り切れない。

アフターものの特徴として「どの段階で元に戻ることを諦めて相手として生きていくか」を決断するか、というものもあります。
相手の人生を奪った罪悪感を抱きながらもいつか元に戻るならと未練たらしく引きずって生きてしまう。この部分をきちんと重要な要素としても描いている。

そして本作の良いところとしてあくまで心情はまなみになった陸のものしか描かれないというところ。陸になったまなみの心情は描かれてない。これは筆者が男性ということもあるんでしょうが筆者のインタビューを読む限り意識してそうなっていてそこで決して背伸びはしていないところは凄く好印象でした。


男性を受け入れる心理

陸はまなみとして男性と関係を持つことになるわけです。これまで男として生きてきて男性とそういう関係になることを受け入れられるものなんだろうか、という感覚は自分にはあるわけですが、この部分も凄く腑に落ちる形になってました。
入れ替わる前からの友人だった田崎と最初にそういうことになるんですが、心の距離が近いこととその愛を受け入れられる心理が出来ているからこその状態。それ以前に男性に暴力的に扱われたことがあってその時と比較してもイヤでない心理が上手く描かれてます。

自分はこの部分結構驚きました。この部分ってこのシチュエーションを考えぬいてないとこういう心理に到達しないと思うんですよ。他作品でも女性の体になった男性がこうなることはあるんですけどここまで深く考えられてはいないと感じます。男性である筆者がこの境地を描いたのが本当に凄いですね。

また逆の存在である陸になったまなみは陸にとって恋愛対象ではない、という部分も前から想いがあったならともかくこれまで接点がない2人が入れ替わったならそれはわかる気がするんですよね。個人的にはどちらでもありといえばありなんですが、本作は恋愛対象でない場合を突き詰めた話になっていてこれはこれでいいものです。


まとめ

筆者がインタビューでも言ってましたが「入れ替わった事を深く掘り下げてる作品は実はそんなにないんじゃないか」というのはまさしくその通りなんです。

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王様のブランチ 2021年10月9日放送分より

入れ替わり作品はそのテーマを採用することを指してありがちだと言及されがちですが、まだまだ全然追求がされきってないテーマだと多くの入れ替わり作品を見てきた自分は強く言いたいです。そして本作はアフターものというアイデアだけに留まらずきちんとそこで描かれる心情をきっちり掘り下げてみせた。本作は入れ替わり作品のある種の到達点であり入れ替わりを文学に昇華させた作品であるように思います。

とても良い作品でした。深く入れ替わり作品を味わいたい方は是非読んでほしいと思います。オススメです。



posted by クロエ at 20:00| Comment(1) | 小説作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月25日

映画『ザ・スイッチ』の感想


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映画 『ザ・スイッチ』
公式サイト:https://theswitch-movie.jp/
2021年4月9日より日本公開

■あらすじ(公式より)

ミリーは、片思い中の同級生にも認識されない地味な女子高生。 親友たちと普通の学校生活を送っていたが、ある13日の金曜日、連続殺人鬼”ブッチャー”に襲われ謎の短剣で刺されてしまう。
間一髪、命は取り留めたミリーだが、次の朝目覚めるとミリーとブッチャーの身体が入れ替わっていた。 女子高生姿のブッチャーが虐殺計画を進めるなか、中年男姿のミリーは24時間以内に身体を取り戻さないと一生元の姿に戻れないことを知り…


■感想など

アメリカのメジャー系映画の入れ替わりもの!ということで観に行ってきました。
まず本作の立ち位置なんですけど80年代くらいからあったいわゆる「スラッシャー映画」と「入れ替わり」を組み合わせたものになってます。 スラッシャー映画は殺人鬼がひたすら刃物などで次々と人を殺していく映画で、今回の作品のベースにしたであろう『13日の金曜日』などが有名ですね。その部分を念頭に置きつつ色々と語ってみたいと思います。

あとこのテキストはネタバレしてます。もし見たいけどまだ見てないという人は見てから読むことをオススメします。


まず良かった点

入れ替わりギャグのエンタメ感ですね。殺人鬼・ブッチャーの体になってしまったミリーによる「外見がごついおっさんなのにかわいい女の子の仕草や言動を取ることで醸し出されるおかしさ」は入れ替わりを扱った映画では鉄板のギャグでして。本作でもアレをぶらぶらさせたり(※映ってないところで)、ダンスを踊ったりと外見が男だったらいじり倒すのは大体許されてる感じで、そこは最大限笑いを取りに行ってる感じでした。

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ではミリーの体になったブッチャーの方はどうかというと、まあ体いじりこそ胸を揉んだ程度で残念ではありますが、時折見せるミリーのふりをして周囲を騙すのは良かったです。あとミリーの体になっても殺人を行うわけなんですがミリーの体は貧弱で、例えば先生を殺そうとする場面とか結構上手くいってないんですよね。あとドアを破壊しようとする場面もミリーの体だとどうにも破れないので「ああもう使えねえなこの体!」とか言って焦ってたりするのが萌えでした。


殺人鬼について

実はこの手の一般人と殺人鬼が入れ替わる、という作品自体はいくつかありまして。『ザ・マシーン 私の中の殺人者』とか『シャッフル学園』とか。で、この手の作品に言えるのは殺人鬼は別の人間の体に入っても殺人やめないというところ。他人の体になったのなら自分(殺人鬼)の体になった一般人に罪をなすりつけて自分はのうのうと他人の体で生きるとか考えられそうなもんですが、大体ガチの殺人鬼だと殺しに走りますw

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そこは個人的にも不満でもあったんですが、こと本作に関しては冒頭にも書きましたがスラッシャー映画のオマージュであるということ。『13日の金曜日』のジェイソンや『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスなどは殺人するためだけの存在なんですね。そこには殺人鬼の生い立ちとか求められてないと。だから本作のブッチャーもそういうものとして描かれてる。本作の立ち位置的にはミリーの体になっても殺人ばかりという行動は一応納得は出来ます。


ポリコレ要素

個人的にはこっちの方が気になったかな、と。先に言っておくとそれが悪いという話ではないですよ。いわゆる「人種やマイノリティーにも気をつかって平等に役をあてがう」みたいな話ですね。ミリーの友人が「黒人の女の子」と「ゲイの男の子」というのはまあ最近のアメリカ作品だとよく見る光景です。黒人はともかくゲイの方は作中でもゲイの男の子が「ミリーと付き合ってるんだ(ということにしてその場を切り抜けようとする)」と母親に言うと「(男が好きなんだから)そんなわけないだろ」と返される場面があったりします。

これぐらい性のあり方の多様性が当たり前(であるべきとされている)価値観となっていると。途中で殺人鬼の体のミリーとミリーが好きな彼氏がキスをするという場面があります。自分とかはまだ「(中身が好きな女の子と知っているとはいえ)野郎同士で、しかもおっさんとキスすることになって彼氏も災難だな」とここをおかしな場面として笑う価値観があるんですが、向こうはここをおかしな場面として受け取らない層もそれなりにいそうだな、とか余計なことを考えてしまった次第で。

本作ではないですが既に入れ替わる対象がステレオタイプでない作品というのも出てきていて結構困惑はしていますね。あくまで個人の好き嫌いでいいますと、やっぱり男女で入れ替わる際は男性は男性の、女性は女性のステレオタイプであるからこそ入れ替わった時の異性間ギャップというものが映えると思うわけです。もしかしたら価値観の主流がそうでないものになる時代が来るかもしれませんが、自分はオールドタイプとして自分の価値観を大事にさせていただきます。


まとめ

一映画ファンとしてはこういう細かいことは気にするな!って感じのエンタメ感あるB級映画は80年代の香りがあってすごく楽しめたりはしました。クラスメイトはイヤなヤツではあっただろうけど殺されたら話は別だろ!とか、殺人鬼はミリーの体でかなり人殺してるけどそこどうなってんだよ!とか、古代の剣なのにネットに入れ替わり現象の詳細まであるのかよ!とか、ツッコミどころはいっぱいあるけど、まあスラッシャー映画ってそういうもんだからw

アメリカ本国でもそこそこヒットしたみたいですし、作中でも入れ替わりアイテムはまだ破壊されず健在なのでこれは是非続編を作ってもらいたいですね。

posted by クロエ at 19:25| Comment(0) | 実写作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月17日

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』第9・10話と全体のまとめ

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』

TBS系列にて2021年1月17日から3月21日まで放送(全10話)
『天国と地獄 〜サイコな2人〜』公式サイト

今回は3/14放送の第9話と3/21放送の第10話、及び全体の感想になります。
第9〜10話のあらすじは「元に戻った綾子と陽斗は奄美大島に向かった東朔也に会いに行く。全ての犯行は東朔也が起こしたもので、弟である陽斗はその証拠隠滅に関わっているだけだった。東朔也は死んでしまって陽斗は綾子を守ろうとしてその罪を被ろうとしたが綾子の説得で、ありのままを受け入れるのだった。」

すいませんがもう入れ替わりは戻ってるのであらすじ少なめです。

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入れ替わりの真相

陽斗の体は綾子と入れ替わる前に既に誰かと入れ替わっていたのではないか?と思われる描写はいくつかあったんですが、最後まで終わってみると別にそんなこともありませんでした。そう思わされる描写は単なる視聴者へのミスリードにしか過ぎなかったわけです。普通に望月綾子と日高陽斗の入れ替わりだけでした。
つまり綾子の体の陽斗が化粧をこなせていたり女性の服を着こなせていたり陸とキスをしたり肉体関係を持ったりしたのも大した意味がなかったってことです。

いやいやそんなことある?

これ思うに脚本家さんはそういうことを匂わせつつそうなってもいいように要素を散りばめておいたけど結局上手く消化できなかったんではないかと。その思わせ部分って結構上手くて、例えば綾子の中の人は心情をモノローグで語らせないようにしてたりしたんですよね。そして少しずつ核心めいたことを明かしていく。
ただ思わせ部分は全部思わせただけでしたーってなるとさすがに肩透かし感が結構ありました。せめて後で語る形(いい人だとわかった後に)でもいいので陽斗は綾子の体でこんな苦労してたみたいな描写があると良かったんですけどね。


まとめ

本作を入れ替わり要素視点で見た場合、刑事ものを入れ替わり要素で捻ったものにしたって感じですかね。最初の方の感想で刑事物単体で成り立つように作ってあると書きましたけど、実際作り手の考えとしても「あくまで刑事物」という意識は強かったように思います。また今のドラマ界を代表するような役者陣(綾瀬はるか・高橋一生)が入れ替わりものという漫画みたいな話をやってくれたのは凄く良かったです。入れ替わり演技も堂々とやっていてそこはさすがだなあと思いましたし。

ただまあ個人的には入れ替わり要素が話のメインであってほしかったというか。冷静に入れ替わりがなかった場合を仮定してこの『天国と地獄』を考えてみても大体同じ筋書きで成り立っちゃうんですよね。
そこは例えば、犯人が入れ替わり能力(もしくは入れ替わりをすることが出来るアイテムを持っている)を使って犯行を起こして、その後別人に入れ替わって前の体を殺してしまうとか。状況だけ考えても何故この人が犯行をおかすのかわからない、というものが積み重なる不思議な状況が発生したら面白いじゃないですか。それぐらい思い切りが欲しかった。

ただまた入れ替わってしまう最後のオチは良かったと思います。もう殺人事件とか関係なく純粋な男女入れ替わり物語はここから始まるというかw

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視聴率は大体20%近くまであったようですしドラマ好きには爪痕残す形にはなったかなと思います。
大きくは取り上げませんでしたがこのドラマの反応という意味では面白かったのが、いわゆるドラマ感想系youtuberというものがありました。毎週放送後に感想や考察の動画を上げていているんですね。その動画を見てみると「作中の描写を見るとやっぱりこれぐらいのことは考えてしまうよね」と共感を覚えてしまうものも多数あっていくつか参考にさせてもらいました。動画による反応というのも凄く2021年らしい反応だなーと思った次第です。
なにはともあれドラマ最後までお疲れさまでした。

posted by クロエ at 16:10| Comment(0) | 実写作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月04日

サイト開設17年になりました


当サイト・入れ替わりマニアックスはなんとか運用し続けて2021年4月4日をもって17周年になりました。

管理人の活動は要するに作品の情報をまとめてその作品に触れるための役立てるというもの。 でも長年やってきますとプライベートでも色々ありますし、このサイトの活動も重要なれど他にもやりたいことは あったりするわけでモチベーションも上がったり下がったりでした。
それでもさすがにここ数年の変化に対応しきれていない部分が無視出来ないレベルになってきたことを痛感することが 多くなってきました。人生何があるかわからないし界隈でも残念ながら鬼籍に入られた方もおられる状況があり、 だったら出来るうちに出来ることをやっておこうと思いました。

というわけで、そういった流れの一つとしてサイトの作品リストのリニューアルを行いました。

変更内容は以下
(1)ビジュアルの追加
(2)電子書籍の対応
(3)リストの見直し



細かくみていきます
(1)ビジュアルの追加

基本的にリストは文字情報オンリーだったのですけど作品を知る上でビジュアルって結構重要な要素だとは 思っていました。これだけ作品情報が多いと文字情報で飛びついてはみたものの思ってたのと違ったということも あるでしょうし。
また昔は「サイトは出来るだけ軽く」が推奨されたものですが、今やスマホで大容量の映画を見る時代ですし ビジュアルの追加がほとんどの人に負担にはなっていないと思います。 例としては以下のような形です。

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全ての作品でこの形式にリニューアル対応出来たわけではないですがこれで大分作品がイメージしやすくなったのではないでしょうか。 また一部の作品はLightBox機能を利用していますのでリストの方で画像をクリックしてみてください。
(※この機能はまだ試し中で取りやめる可能性もあります。)

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収録情報など縦長になる部分は折りたたみ機能を用いてリストとして見やすさを重視しています。 実際もっとスマホ閲覧を前提にしたフレキシブルなリストに作り変える考えもあったのですが そこまでは思いきれませんでした。今時固定レイアウトなサイトってのも馬鹿な話ですが 情報の一覧性を優先した時自分には結局これ以上の形が思い浮かばなかったのでご容赦を。



(2)電子書籍の対応

以前に何回か言及したことがありますが、漫画・小説などの紙媒体の作品の電子書籍形式による閲覧は 2018年くらいを堺にほぼほぼ当たり前の存在になったと言えます。見る側の電子書籍閲覧端末(要はスマホ)の普及ももちろんですが 供給側が大体電子書籍版を用意していくれているのが大きいわけです。
そしてこれは自分でも気付くのに遅くなったのですが既に絶版になっていて読むのが難しくなっている作品も 電子書籍によって救われている状況が多く発生しているんです。

ああこれは電子書籍版の情報も載せていかないと作品の情報を捉えきれているとは言えなくなってきたなと素直に思いました。 そこらへんを考えその内容をリストに反映するようにしました。 表記としてはこんな感じになります。

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なんとなく文字面から意味がわかると思います。こういった形で紙の単行本・電子書籍の有無を判断出来るようにしました。
リストを全部見直したので結構大変でしたが古い作品が意外と簡単に読めるようになっていることが多いということが より広まってくれたら良いなと思います。



(3)リストの見直し

1ページあたりの情報量が多すぎる場合があり、適度にページをわけることにしました。 ぶっちゃけそれでも多いんですがとりあえずこの形で様子見させてください。

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現時点で扱っている総作品数などもわかるようになっています。
「そもそも漫画を少年とか少女とかカテゴリをわける必要あるの?」って意見もあったんですが、やっぱり作品の味わいが結構違うので その部分は体系的にわけさせてもらいたいかなーと。
また作品傾向的にカテゴリが違うと判断した作品は扱いを変えているものがあります。掲載誌にカテゴリ引っ張られるところが あったのですが主に内容で振り分ける形ですね。
例えば、少年誌に掲載されていてもあまりに性的であれば青年カテゴリに入れるみたいなことをしています。



まとめ

サイトを作ってから17年も経ってしまっているけど今でも入れ替わり作品が好きな方に役に立っているのだろうか?と 疑問を覚えることがあります。そんな中でいつかはしなければいけなかった新陳代謝をようやく実行に移した形です。 書ききれてない変更点もありますが基本的に作品にリーチ出来ることを意識してあるはずです。
1000を越える作品があり全部はもちろん対応しきれませんでした。なんとか半分くらいリニューアル対応は行えたと思うんですが、 残りはおいおい追加対応していきます。

インターネットが出来て20年以上経った現在、インターネット黎明期の情報ってもう かなり消えてしまっているんですよね。実は今ってリンク集すら貴重な情報源なんです。
うちのサイトに反映した作品情報も下手するとうちのサイトにしか引っかからないものもある。 やってることは地味なれどやらないよりかは全然いいんじゃないかなーと。
拙くてもこうして記録することが同好の士の楽しみに繋がってくれることを願います。
18年目もよろしくお願いいたします。m(_ _)m

posted by クロエ at 12:32| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月14日

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』第7・8話

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』

TBS系列にて2021年1月17日から毎週日曜21時放送
『天国と地獄 〜サイコな2人〜』公式サイト

今回は2/28放送の第7話と3/7放送の第8話の感想になります。
第7〜8話のあらすじは「(7話)東朔也を探る彩子たち。落書きの依頼者は右手の手のひらにホクロがあることがわかる。彩子(陽斗)は東朔也の生死を探っていた。そんな時陽斗の父親から東朔也は陽斗の生き別れの双子(二卵性)の兄だとわかる。東朔也と目される人物は陸の師匠ではないかと思われるのだが。
(8話)前の新月の際に殺人はターゲットの息子に対して行われていた。そんな時彩子(陽斗)は陽斗(彩子)に捕まる恐れがあるため会社の社長を辞任するように言ってきた。彩子(陽斗)は証拠を偽装するなど時間稼ぎをするが、殺害現場から陽斗の歯が発見され陽斗(彩子)は逮捕されそうになってしまう。彩子(陽斗)はこれしかないと思い満月の夜に陽斗(彩子)を歩道橋に呼び出しまた階段を転げ落ちることになったが。」

殺人事件を巡るあれこれは色々とあるんですけど、こと入れ替わり要素については実はあまり捻ってないのかな、と思われる展開でした。

「兄さん」発言

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彩子の体の中の人は陽斗ではないのでは?誰なのか?という疑問はずっとありました。実際別人なのでは?と思わせる描写も多数あったんですけどどうもそれらはミスリードっぽいですね。7〜8話あたりの見た目・彩子の行動・言動は「兄を心配する弟(男性)」のそれで、そこはもう捻りがない。誰にも演技をする必要のない場面で「兄さん」って言ってますし。個人的には複数入れ替わりがあった方が面白いなーと思っていただけに結局最初の構図通りなのかーい、というところはありますね。

それはそれで「女性としてやったあれこれ」は異性を楽しむ一環、ということになるけどそこは確定してから語ります。

理解が早い登場人物たち

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今回は秘書の五木に入れ替わりを告白したんですけど、基本この世界の人物は理解が早いですよね。散々不自然な言動を見せた後だからまあ説得力はあるんですけども。

後は今回のラストで元に戻るかどうかですね。話数的には戻れない可能性も十分あり得ます。つーか戻ったら残りは普通の刑事物になっちゃうじゃんっていうこともあります。個人的には別軸の入れ替わり要素があると面白いんですけどねえ。次回を待ちます。

posted by クロエ at 19:00| Comment(0) | 実写作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月28日

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』第6話

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』

TBS系列にて2021年1月17日から毎週日曜21時放送
『天国と地獄 〜サイコな2人〜』公式サイト

今回は2/21放送の第6話の感想になります。
第6話のあらすじは「陽斗(彩子)は手紙の相手である“歩道橋の彼女”のことを探り始める。そんな時八巻が九十九からの情報でΦによる殺人は新月の夜に行われていることを突き止める。そして次の新月こそが今日であり彩子(陽斗)が休んでいたことから今日の夜決行すると考えられた。
陸の協力で陽斗の利用するコインロッカーから殺害リストを手に入れ、また中の漫画の内容から歩道橋に書かれた数字の「9」に相当する人物が殺害対象と思われた。対象の人物の家の前で張り込みを行い彩子(陽斗)の犯行を止めるつもりだったが、翌朝に彩子(陽斗)がその家の中から現れ逃走してしまう。また犯行を止められなかった…と思われたが対象の人物は殺害されていなかった。
そんな時、“奄美大島を訪れた日高が名乗った名前”、“彩子(陽斗)が調べた死亡届が出ている名前”、“企業の個人情報を買った人物の持つ漫画を持ち去った人物”の名前が「東朔也(あずまさくや)」であることが判明する。そして殺害対象と思われた人物とはまた別の人物が殺されていて…。」

この作品は「入れ替わり」と「連続殺人事件」と二軸で物語が展開されていて今回は後者が多めでした。

彩子の中の人物の意図

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やっぱり彩子の体の人物は殺人者なのか?と思わせておいて違いましたーという展開。ここで完全に彩子の体の人物は連続殺人を止めようとしている存在であると思われますね。
じゃあ3話の撲殺動画はなんなんだ?って話なんですけど、多分あれは「この時も殺害を止めようとしたけど間に合わなかった。だったら既に死体になっている被害者を利用して犯行動画っぽいものを作りこれ以上首を突っ込もうとしている彩子にブレーキをかけようとした。」みたいなことじゃないかなーと。自分で書いててなんだけどちょっと苦しい説明っすねこれ。死体損壊罪は逃れられない話だし。

現時点で「入れ替わり状況」と「殺人者との因果関係」ってまだ情報が足りないのでなんとも言えないですね。少なくとも彩子が入れ替わる前に日高陽斗の体は誰かと入れ替わったことがあると思われるんですが、今出ている情報と上手く結びつかない感じです。もし現在彩子の中の人物が女性だったとしたら現在作中に出ていて該当しそうな人物って“歩道橋の彼女”くらいしかないです。結構ここらへん話がややこしくなっていて2回くらい見ないとしっくりこないかも。この辺り今後も楽しみにしたいですね。

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2021年02月21日

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』第5話

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』

TBS系列にて2021年1月17日から毎週日曜21時放送
『天国と地獄 〜サイコな2人〜』公式サイト

今回は2/14放送の第5話の感想になります。
第5話のあらすじは「彩子(陽斗)がコインロッカーに何かと入れるのを見かけた陸はこっそり鍵を複製し中身を覗き見ることに。そして陸はその中にあった手紙に名前があった日高陽斗に会いに来たのだった。彩子は陸に入れ替わりのことを告白するとすぐに陸はこれまでの疑惑もありすぐに理解してくれたのだった。彩子は手紙から陽斗のことを調べ始める。
そんな時陽斗の会社コ・アースの社長が殺人犯であるという噂が出回り始めた。彩子は警察内部から情報が漏れていると睨み陽斗と共に噂を仕掛けている存在を追うことに。すると八巻が漏洩したことがわかり今回の騒動を仕掛けた九十九(つくも)を逮捕することに成功しなんとかコ・アース社の危機を脱するのだった。
そんな時河原はとあるイラストから3年前の事件の目撃者を探していて…。」


入れ替わりを理解する陸

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陸は同居してたってこともありますが彩子の入れ替わりを超速理解し協力もしてくれるいいヤツ。 腰が引けちゃった八巻とは雲泥の差がありますね。この理解の速さはありかなしか?っていう議論が ないではないですが、作品の中でそれぞれ2人の仕草のクセや相対して感じる違和感などはずっと描いて来ているので 不自然だとは思いませんね。その入れ替わったという解釈こそが一番腑に落ちるように人物像やストーリーを構築出来ています。

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あと飲み屋の親父が呼び方や会話内容のおかしさに首を傾げるシーンはベタな入れ替わりギャグでこういうのをちゃんと入れてくるのは本当に偉いと思いますw 入れ替わりってそのおかしな状況に作中の人物が何もおかしさを感じなくなったら魅力半減ですから。ここかなり評価出来るポイントかなと。


彩子の体にいる人物は?

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彩子の姿でドレスを着飾って潜入するシーン。いくつか指摘出来る点はありますがまず体を褒める際に「腹筋」を褒めてます。例えば男性から女性の体になったのだとしてもっとも特徴的に差異を感じるのだとしたらそれはだと思うんですよね。そこに言及しないってことあります?
また「(男性であればほとんどが出来ないであろう)化粧がちゃんと出来ている」ことや「ドレスを着こなしている」こと、また陸との会話で確定した「陸と肉体的関係を持った」こと。まったく可能性がないとは言わないけど、いきなり女性になってしまった男性がなんともなしにこれらをこなすというのはあまりにハードルが高い話ですね。

なのでこれらの要素から現在彩子の体に入っているのは(現時点では誰とは特定は出来ないけど)女性の人格である可能性が高いんじゃないかと。少なくとも上記したこれらを違和感として描いていることは間違いないんじゃないか、と思います。

posted by クロエ at 16:50| Comment(0) | 実写作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月13日

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』第4話

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』

TBS系列にて2021年1月17日から毎週日曜21時放送
『天国と地獄 〜サイコな2人〜』公式サイト

今回は2/7放送の第4話の感想になります。
第4話のあらすじは「新たな殺人が起こったことで陽斗の体の彩子はまた事情聴取をされる。陽斗の体はアリバイがあるため解放されるが彩子(陽斗)は情報のデータベースを作ったり彩子の手袋のすり替えに気付き回収しようとしたりと着々と物事を進めていた。このまま殺人を野放しにするわけにいかないと感じた彩子は自分の体が捕まる形になってでも陽斗を止めようとするが陽斗はさらっと受け流してしまう。
河原は2人になんらかの繋がりがあると感じ新たな殺人の現場で彩子らしき人物の目撃者を見つける。そして目撃者に手を回し彩子を追い詰めようとするが2人の協力により目撃者を買収しようとした河原を撮影。動画を警視庁に送りつけ事なきを得て河原は捜査現場を外されるのだった。」

普通の刑事ドラマパートは別に語らなくてもいいかな。河原の直感こそあってるが汚いやり口を逆手に取ったのは通常のドラマの盛り上がりポイントですね。


今回は語りは1箇所。彩子の決意と陽斗の思わせぶりな台詞

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彩子はこのまま殺人犯の体を押し付けられ、さらに自分の体でも殺人を犯されてしまったという踏んだり蹴ったりな状況。ではこのまま状況に流されて過ごすのか?という部分で自分の体が捕まることになってでも殺人を止めることが正義だ、と覚悟を決めたわけです。入れ替わりを語る際に色んな切り口がありますが「自分が他人になっている」以上に「他人が自分になっている」ことの方がイヤだと感じる人がいると思うんですよね。でも彩子が本当にされたらいけない部分を考えた結果がこの覚悟なんですよ。

物語にはこういう主人公的な思考って結構大事だと思ってます。入れ替わりという荒唐無稽なアイデアが出てくるとはいえドラマとして視聴者を魅せようとした場合はこういう血が通ってる描写の有無は作品の出来を左右する。入れ替わりを単なる出落ちや相互理解で済ませないもので自分は見てて凄く嬉しくなっちゃいましたね。

その後の「だから私はあなたと入れ替わったんですか」という台詞。これはなんつーか入れ替わりが起こる場合には運命的な繋がりがあるとかそういう感じのヤツかなーと。前も言ったけど個人的好みではそういうのよりルールに従えば誰でも入れ替わりが発生する方が好みですね。入れ替わりのカラクリは早く知りたいようなそうでもないような。中々やきもきします。

後は本編中でも日高陽斗なる人物はそんな悪いヤツではないのでは?という流れが出来てますね。一応2話くらいからそういう視点でも作品見てますけどそれにしたってこの行動はないだろうってのが結構あるんですよね。この辺はなんともまだわからないです。

posted by クロエ at 16:30| Comment(0) | 実写作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月11日

自主制作映画作品『ザ・フィクション』が発売されました!


以前に11月の記事でお知らせした『ザ・フィクション』がいよいよ発売になりました!
私もDVDを入手させていただきました。なのでおさらいしつつ感想など上げさせてもらおうと思います。

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公式サイト
https://movie8282uch.themedia.jp/
Twitter
https://twitter.com/rj8FB0Puc4CUPY8
BOOTH(販売サイト)
https://movie8282.booth.pm/

本作は自主制作映像チーム8282(ハニハニ)さんによって構想に20年をかけ作り上げられた入れ替わりを扱った自主映画作品になります。昨年から私も宣伝等を協力させていただきましたがそれが2021年2月11日にDVD発売に至りました。
元々TSF界隈はアマチュアによる創作が比較的活発なジャンルではありますが、こと映像という形で作品を作り上げようとした方はほぼいないのでそれだけでも大変なことであると思います。

内容は「何の前触れもなく人と人の心と体が入れ替わる現象が実際に起きた世界。入れ替わってしまったことでその人はどう変わったか、それを取り巻く社会はどう変わったか、それをドキュメンタリーという形式でその当事者やその現象の関係者に話を聞いていく」というもの。
その中で識者に話を聞くなどあるんですがいやーこれがなんとももっともらしいですよこれが!w

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私も以前に「異性との入れ替わり状態とはどういうことか」をリアルに考えるとこういう感じに言い方になるだろうな、と思ったことがあります。
他にも作中の世界で、日本の場合はこの入れ替わり現象を指して「OS」と呼ぶと。OSは何かとというと「尾道症候群(onomichi syndrome)」だっていうんですねw ここらへんのウィットさは入れ替わりのことをよく考えてきた人間の思考であってなんか嬉しくなっちゃいましたね。SFがifの事象をあたかも現実のことであるように描くことを指すならば本作は「入れ替わりSF」を名乗るに値する作品であるように思います。

本作には入れ替わってしまったという体で様々な人物が登場するわけですが、商業作品で見かけるような同年代同士であったり生活環境が近い人間は出てきません。それはもし本当にランダムで入れ替わりが起きた場合は単なるドタバタじゃ済まないということです。性別だけでなく年齢・生活環境・肉体疾患の違いがあまりに大きい場合なども描かれます。そしてなおかつ元に戻る目処がまるでないということもセットで。そうした環境に置かれた人間がどう生きるだろうか―そういう作品だったりするんですね。

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もちろんそういう重めの話ばかりでなく、性を超越したものとしての話も描かれます。
男女に対する価値観は人それぞれであると思いますが、現代日本社会において「若い女性」という立場が、ある程度ステータスがある存在であることは理解していただけると思います。完全ランダムな入れ替わりにおいて、その立場を得たもの・その立場を失ったもの。若い女性を堪能する男性の描写は残酷であると同時に魅力的な存在とも言えますね。

また本作は以前の記事にも書きましたがジョーカーさんが協力に参加していることもあり非常にジョーカーさんらしいダークな展開もあります。これはジョーカーさんが好きだった方はグッとくるポイントかなと。またこの入れ替わり現象の世界でTSF界隈の人間はどう反応したか?なんて部分もあります。あとおまけじゃないですけどTSF界隈を面白おかしくいじった部分もあって面白いです。ちなみに私もいじってもらいましたw ありがとうございます。

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TSF界隈の人間にとっては入れ替わりは「永遠のif」であったわけでそれが現実化したらどういう心境になるかなあ、みたいなことはちょっと思ったりもしますね。
本作は入れ替わりを扱ってはいますがこれまでのどの入れ替わり作品とも違うアプローチがなされていて、今までにない光景が展開されている作品です。そういう観点で興味を抱いた方は是非見てみてもらいたいです。


posted by クロエ at 17:30| Comment(0) | 実写作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする