2006年04月07日

『さくさく』


秋田書店 月刊プリンセス 5月号 [Amazon] 掲載
『さくさく』(著者:みもり)

女子高生の三瀬華南は女の子なのに色恋沙汰に全く興味がなく 校内一のモテ男の告白にも応じないほど。そんなある日転校してきた男の子・梶原善雪は まるで華南の10年来の知り合いであるかのように接してきたどころかいきなり恋人宣言をしてしまう。 華南はまったく覚えがないはずだったが、善雪の言葉の節々に引っかかりを感じ気になって仕方ない。 実は二人は…。




この作品は素晴らしい。そもそも商業市場における入れ替わりを扱った作品のストーリーと いうのは、ほとんどのものが「入れ替わった→大変だ→元に戻っためでたし」の基本枠を 大きく外れることがない。WebにおけるTSF創作小説においては、それらをさらに発展させた ストーリーが数多く発表されている状況があり、アフターものは その一つだ。しかし商業市場ではそれらを扱った作品はほんのわずか数えるほどしかない。そんな状況 にも関わらず本作はアフターものの傑作と言っていい出来だ。

自分のように入れ替わりによって生み出される独自のストーリー展開に魅かれるところが大きい 人間にとっては本作の完成度は正直驚嘆した。 華南がどうして他の女の子のように色恋沙汰に興味を持てないか…ということにもきちんと回答が得られる 形になっているし、入れ替わりがあったということが二人の関係の謎を解く肝になっているが、 それが単なるアイデアに終わらずきちんとした作劇に仕上がっている。 またそれでいて本作は「ツンデレな女の子と素直クールな男の子のラブストーリー」として もしっかり面白い、という奇跡のバランスを有している。

それに二人は入れ替わったままという状況を受け入れて新しい恋が始まるなんて 素敵じゃないか。この入れ替わった環境におかれたとしてその後、元に戻ることが 必ずしもベストじゃないという考えは商業市場ではなかなか見られないので 本当に嬉しい。よくぞ描いてくれたと思う。 華南(善雪)はそんな大事なことを忘れてたのはおかしいんじゃ?と思えなくもないけど、 そこは善意の解釈で、二人はまだ物心もつかないほど幼かったこともあったし、好きだった 女の子に大変なことをしてしまったツラさから忘れたかった、と言えるん じゃないだろうか。

色々と小難しいことを書いたけど、自分にとってはこの作品、頭のてっぺんから つま先までツボなんです(笑)。もう最後の5ページ分の展開なんて二人とも かわいくてたまんなくて読んでて(・∀・)ニヤニヤしっぱなしですよ。 自分の中では今まで見た作品の中で10本の指に入る出来ですわ。殿堂入りです。 この作品のせいで世にあふれるツンデレキャラは男が入れ替わったんじゃないか?と しか思えなくなってしまったじゃないか!(←馬鹿) 入れ替わり好きな人は この作品絶対押さえてた方がいいですよ!

[この作品の情報はじゅんちゃんさんからいただきました。本当にありがとうございました。]




posted by クロエ at 23:50| Comment(2) | TrackBack(0) | コミック作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして、ごきげんよう。
『月刊プリンセス5月号』、おかげさまで本日無事確保できました(^^
(同好の士にも宣伝できましたし)
みもりさんの『さくさく』は実に素晴らしい作品でしたね!
このサイトでレビューを見たときは「商業誌でそんな素敵な入れ替わりアフターもの?! 馬鹿な!」と信じ難い気分でした(笑)
しかし立ち読んでみたらなんという完成度の高さ。迷わずレジに持っていきました。
「記憶がない」ことすら不自然に感じないほど上手い話の運び方。階段の用い方。思わずグッと親指を立てたくなる締めくくり。
最高な作品でした。
紹介、本当にありがとうございます。
Posted by nekome at 2006年04月18日 22:57
こんにちわ。nekomeさん。

素敵な作品に出会うきっかけになったのならレビュー書いた側
としても嬉しいですー(^^)。
この作品のアプローチの仕方はWEBでTSF小説を書かれている
方たちのそれとは違うと思うんですよ。
まず最初に入れ替わりがあって―その結果、という形ではない。
二人には何かがあってそれが入れ替わりだったと。
アプローチが違うのに同じ入れ替わりのアフターもの
として良い部分にたどり着いてるというのが驚きでした。

あと華南(善雪)の心の持ちようがいいです。
すごく純真なんですよ。善雪的には今の状況というのは
「好きな娘の人生を奪って、好きな娘に自分の人生押し付けた」
くらいの罪悪感にも似た感情があると思うんです。
(入れ替わりの原因も善雪だったし)
そのまっすぐな純真さが読んでて心地いいなと。

まだまだ色々と語りたい作品です(^^)
Posted by クロエ at 2006年04月23日 20:31
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