2007年09月15日

『ラブリバ♂⇔♀』書籍化にて感想


ゴマブックス
『ラブリバ♂⇔♀』(著者:内藤みか尾谷幸憲
♂編 [Amazon] ♀編 [Amazon]




書籍化記念ということでまとめの感想など。ネタバレあります。
人気下降気味の女性アイドルとおっかけ男性ファンが入れ替わるという設定自体が結構 冒険していたこの作品。入れ替わった直後はそりゃねえだろと言いたくなる ような失敗ばかりやらかし、お互いにラブホテルでこっそり逢っていたところを スキャンダルされ総スカンを食らうというとこまでは中々にダイナミック。 で、失意の底から立ち上がる段階になってから、段々と二人のものの 考え方・感じ方や言動が肉体の方の性別のそれに変わっていくという展開に なっていく。

この再起の道を目指してからの展開はマネージャーやらアイドルのファンたちや 世間の人間の態度が話の中であまり一貫しておらず、物語の展開に合わせてる感が かなり漂う。いやぶっちゃけ言って物語自体がかなりご都合主義に走ってしまって いて、読んでいて非常にモヤモヤしてしまった。そんな純粋な物語の展開はさておき 入れ替わり作品としてはこのオチは悪くはない。今までの例から言うと何故かアイドルとの 入れ替わりを扱った作品は元に戻れずに終わることが多いようだ。

異性になって話し言葉や意識まで異性のそれへと変わっていく、というのはTSFでは 割とよくある描き方だけど、個人的にあまり好きではないかも。今までの 性別として過ごしてきた積み重ねはそう簡単に消えるものではないだろうし、 現代はその性ならではの立ち回りを強要されるようなことはない時代だ。 ここまでなにもかもが異性へのそれへと変わってしまうのは(それはそれで 倒錯感はあるが)、イマイチ感情移入がしづらいように感じられた。

しかしこの同じシチュエーションを男性と女性の作家でそれぞれ書くというのは かなり画期的だったと思う。男女入れ替わりを扱った作品は当たり前だが話を書く 人間はどちらかの性別なわけで、結局のところその書き手の性別が基本視点となり 物語の方向性を位置づけてしまう。『おれがあいつであいつがおれで』なんか タイトルからして男性視点だ。入れ替わり自体は空想上の出来事ではあるが、 起きた事態に対して男女で何を意識しているかの違いはよく描けていたと思う。



posted by クロエ at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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